・按摩
・マッサージ
・指圧
~按摩~
古代中国に起こり日本に渡来したモノ。
東洋医学における経絡をめぐる気血の虚実に対し補瀉の法をもって施術する
気には、両親から受け継いだ「先天の気」と出生後飲食持つより取り入れる自分自身の「後天の気」が
あります。
後天の気から「栄」と「衛」が生じ、この栄衛の二期の流れる経路が経絡となります。
手と足に流れる三陰・三陽(陰と陽の各三つの経絡)の十二経と身体の中心を流れる、
任脈と督脈の二脈を合わせて、十四経脈と呼びます。
この十四経脈の流れの状態によって五臓六腑を候い、経絡に沿って「虚」(気血が不足しているところ)
「実」(気血が滞り大きくなっているところ)に応じて、「補」(足りない気血を補う手法)「瀉」(渋滞して大きく
なった気血を取り除く手法)を行い、気血の流れを整えることにより、疾病の治療を行います。
<古法按摩。昔のあん摩の手法です。現在では医療の主体が変わったこともあり、
みることはほとんどありません。(難しすぎるという面もありますが)ですが、本来のあん摩とは
こういうものなのだそうです。
明治以降、医学は東洋医学から西洋医学に主流が変わり、治療法も東洋医学から西洋医学に
主体が変わったため、これらの理論から西洋医学の解剖・生理学を元にした、循環系、運動器系、
神経系への調整術式に改められて今日に至っています。
現在のあん摩は、薄い衣服の上から施術を行い、中心部から末梢に向けて施術します。
(遠心性と言います)
筋肉を対象として揉捏法(注1)(押したり、こねたり、つまんだり、
絞るように揉む手技です)を主として筋肉の硬結を取り除き、筋組織の循環を良くし、
新陳代謝を盛んにし栄養を高め機能向上を図ります。
また、目的にそって他の手技を色々に組み合わせてリズミカルな複合圧としての刺激を与えて
生体の機能調節を図ります。
注1:「じゅうねつほう」と読むのですが、本当は「捏」という漢字ではなく、
「手偏」に「臼」「土」という漢字になります。
インターネット上では表示できない漢字なので近く見える漢字で代用しました。
漢字には意味があるのでこういうことは本来はしたくないのですが表現できないので諦めました。
ご了承ください。
~マッサージ~
ヨーロッパでおこり、体系化され医療に応用されていたもの。
明治中期にフランスより日本に輸入。
医療補助の施術として医療・保険・その他の面で広く応用されている。
マッサージ(Massage)という言葉はフランス語です。
この語源は、アラビア語の「押す」(Mass)
ギリシャ語の「こねる」(Sso)という言葉から来たモノといわれています。また、ラテン語の「手」(Manus)と
同一語源であるらしいです。按摩の「按」は「押す」、「摩」は「なでる」という意味なので、洋の東西を問わず
言葉の起こりと発生は同じと言うことなのですね。
ヒポクラテスの時代、紀元前4・5世紀から存在しますが、現在のように体系化されたのは、19世紀から。
それまでは、民間療法としてしか存在していなかったのですが、1875年に循環系への効果を実証した
論文で整形外科で応用され初め、ブームになります。生体への新陳代謝、消化、循環に及ぼす影響、
たくさんの研究発表がされ、医療マッサージとして内科・外科・整形外科と応用分を広げて現在に至ります。
そんなマッサージが日本に来たのは、明治20年。陸軍の軍医さんがヨーロッパから持ち帰った最先端の
技術として外科で医療マッサージ用いられました。その後、各地の大学病院や総合病院で応用され、
輸入されたマッサージと日本古来のあん摩術の長所を取り入れて、日本独特のマッサージ手技となって、
医療界に広く普及しました。当時は、医療技術としてマッサージ、保険技術としてあん摩、という風に区分が
つけられて免許資格が分けられていました。
今日では、あん摩もマッサージも指圧も、全て同じ資格として取り扱われています。
マッサージは皮膚に直接、滑剤(オイル等)を用いて施術します。
あん摩とは逆に末梢から中心に向かい施術します。(求心性といいます)
主に循環系を対称に軽擦法(なでたり、さすったりする手技です)、
揉捏法を施して血液やリンパの還流促します。
また、他の手技を色々に組み合わせて与える刺激に変化を与えて多種多様の生体反応を期待します。
*雑学*
ということは、旅館やサウナで「マッサージ」とうたっているモノは、
衣服の上から行うので本来の意味で言えば、あん摩や指圧ということになりますネ(笑)
~指圧~
古法按摩、導引、柔術の活法を合わせ、圧を主体とした独特の施術で大正初期に
アメリカの整体療術の理論と手技を取り入れて体系化されたモノ。
按摩・マッサージの基本手技は手指による、圧刺激を一定のリズムで変化させて、
複合圧として作用させるが、指圧は一点圧として作用させる。
導引とは「大気を導いて体内に引き入れ、深く呼吸し、心を鎮め、慾を制する」ことです。
この究極の目的は、各個人が自ら運動して、身体を鍛え、心身を明朗にして不老長寿の
仙境の域に達すること。仙境の域、とまで行くかどうかは別として、これを理想とした
呼吸運動法ということになります。
柔術の活法とは、柔術という柔道の元となった古い武術
(最近ではグレイシー柔術という名前で有名にもなっていますネ)、その修行中の事故の
救急法のひとつとして失神者を蘇生させるための衝撃法です。
江戸時代まではこれらを総合した経験治療とした民間療法でした。明治時代から、
これらの手技操作と共通するアメリカの整体術、カイロプラクテック、オステオパシー、
スポンディロセラピー、等の療術が輸入されるにおよび、この施術を導引に加え改良し
独自の手技療法として体系化し、大正時代には指圧法として統合されました。
昭和30年には法律で認められました。
指圧は、薄い衣服の上から生体に現れる反応点を対象として主に一点圧の刺激を遠心性に与え、
圧反射機転により神経や筋肉の機能を調節します。
現在、指圧は大まかに分けて二通りの施術方針があります。ひとつは、経絡を基本とした、経絡指圧。
もう一つは、生理学に基づき指圧する指圧方法です。
どちらも一点圧を基本とした施術です。要するに東洋医学的に治療を進めていくか西洋医学を基本として
施術していくか?ということです。